The Well-Tempered Clavier II　BWV870-893
Barenreiter URTEXT (ベーレンライター原典版)　

平均律クラヴィア曲集IIはIとは異なり、資料が少ないうえ、バッハが発表までに多年間手元においていたため、再構成が難しい作品になっている。

残されている信用に値する資料は、バッハ本人と妻マリア・マグダレーナによる清書稿と、アルトニコルによる筆写譜で、これは、現在は残されていない初稿にバッハ本人が改訂を加えたものだった。
清書稿は、早い段階で改訂が終了しており、初期稿の印象が拭えない。

新バッハ全集では、これら資料を総合的にまとめて楽譜にしたが、本書の校訂者でバッハ研究の大家デュルは、その方法に疑いをもっていた。
本書校訂作業でデュルは、上記2稿のどちらかを曲ごとに選択し、明記してピアノ演奏譜にしている（清書稿：A、筆写稿：B）。一方から異なっている重要な部分は、並列して楽譜の同箇所に書き込まれている。