Italian Concerto　BWV 971　
Barenreiter URTEXT (ベーレンライター原典版)　

もともと2段式チェンバロのために書かれたこの作品の、現代のピアノでの演奏には、熟慮された運指が欠かせない。ドイツを代表する音楽教育者クレッチマー・フィッシャー教授は、《イタリア協奏曲》の運指をつけるにあたって、チェンバロの特徴であるこの作品のアルペジオを使った和音的構造のために、バッハ自身が書き込んだチェンバロ演奏者への指示を活用している。

具体的な例は第2楽章に見ることができる。
旋律は装飾音を多数含み、2つの非常に長いセクションに分けることができ、伴奏部分は、2つのカンタービレがきいた中声部にバス声部が重なった対位法伴奏声部となっている。
バスでは、まったく途切れない8分音符が、オスティナートの効果を生み出し、その上に３度でカンタービレ声部が重なっている。
本書の運指を使えば、この声部をペダルなしで演奏することが可能である。このアンダンテ楽章はまた、全体のテンポと響きの基準として機能している。